今後の暮らしを快適にするために!大規模修繕工事の内容や流れについて解説

2024年04月22日

この記事を見てくださっている皆さま、「修繕委員になったけど何から始めていいかわからない」「そもそも大規模修繕工事って何するの?」と思う方が多いかと思います。

そこで、この記事は大規模修繕についてレーヴの技術者たちに様々な意見を聞きながら分かりやすくまとめました。

一つの建物の大規模修繕工事を行うにはたくさんの方の「直したい」「綺麗にしたい」「綺麗になって喜んでもらいたい」という思いで工事が出来ています。

一つの目安として読んでいただければと思います。

大規模修繕工事とは?

まず大規模修繕とはビルやマンションなどの大型の建物の経年劣化を防ぐために12年~15年に1回行う大掛かりな工事です。

何年ごとに行うかはマンションの長期修繕計画に基づいて行う為、マンションによって異なります。

工事の対象になるのはマンション共用部となります。

大規模修繕工事は建物保全と資産価値維持・向上の為には欠かせない工事となります。

大規模修繕工事の必要性とタイミング

建物の新築時から現在まで、雨風や日差しによる劣化、地震や台風などの自然災害で建物は見た目以上に劣化が進んでいます。その為、定期的に大規模修繕工事を実施する必要性は以下の通りとなります。

◯新築時からの経年劣化による補修

◯塗装面の塗り替えや防水の塗り増しで性能の回復

◯タイル剥落や破損から危険の予防

◯スロープ設置やポストなどの交換で建物をさらにグレードアップして資産価値の向上

 

たとえ、小さなひび割れでもそこから雨水が建物内部に侵入して、内部から劣化してしまいます。それによりタイルが剥落してしまい大きな事故に繋がってしまう可能性もあります。

大きな事故が起きてしまう前に定期的な大規模修繕工事を行いましょう。

 

また、工事を行うタイミングは、マンションごとに作成された「長期修繕計画」を基に行います。長期修繕計画は建物の劣化のタイミングや様々な保証の切れるタイミング、修繕積立費など様々な事を考慮して作成されます。

大規模修繕工事の最適なタイミングは12年が目安と言われていますが、最近では12年よりも長い周期で工事を行う事も増えてきました。

理由としましては、12年以上建物が綺麗に保てる材料や工法が開発されているからです。

工事内容について

工事の内容はマンションごとの劣化具合や予算によって違いますので内容は様々ですが、代表的な工事内容をご紹介いたします。

足場仮設工事 建物の廻り(工事を行う範囲)工事を行うための足場を組み立てます。工事を行うための足場を組み立てます。工事期間中最も危険な工事になります。

下地補修工事

(タイル工事含む)
ひび割れや欠損、鉄筋の錆など建物の不具合を補修する工事です。
シーリング工事 外壁目地やサッシ廻りなどのゴム状の箇所を打ち替える工事です。
洗浄工事

工事で出たホコリなどの汚れや長年建物に付着した汚れを洗い流して、新しい塗膜の密着度などを上げるための工事です。

また、工事が終わった後に窓や1階廻りのクリーニングも行います。、
外壁塗装工事 新しい塗膜に塗り替えて躯体の保護と美観の回復をする工事です。
鉄部塗装工事 樋、隔て板、メーターボックスや玄関扉()など、長年の雨風で鉄部は酸化し錆びてしまったり腐食してしまう為、保護や美観の回復の為に塗り替え工事を行います。
防水工事 屋上、屋根、ベランダ、廊下排水溝など雨水から建物を守る工事です。劣化してしまうと建物内部に雨水が回ってしまい、様々な箇所で不具合が起きたり雨漏りが発生したりしてしまいます。
長尺塩ビシート工事 ベランダや廊下、階段に施工を行います。足音の軽減や、滑り止めの効果、資産価値の向上の為に工事を行います。

工事の流れ

大規模修繕工事が実際に着工するまでに修繕委員会の設置、建物診断で建物の現状調査など、様々なお打合せがありますが、ここでは実際に工事が着工してからの流れを上記の工事内容を踏まえて、解説させていただきます。

もちろん工事の流れは、全て同じではありません。建物の形状や工期など、様々な条件により変わってきます。ですので、以下に書かれている工事の流れは一例として読んでいただければと思います。

№1 共通仮設工事

工事に必要な現場事務所などの仮設ハウスや仮設トイレ、シンクなどの搬入を行います。また、居住者様との連絡手段に必要な工事用掲示板の設置も行います。

№2 足場仮設工事

外壁の工事を行うために必要不可欠な足場を設置します。工事の中で一番費用が高額ですが、撤去してしまう為残りません。しかし、足場は他の業種の作業員が作業をする為、品質保持に必要不可欠です。また、足場メッシュシートは人の落下防止だけでなく、工事中塗料の飛散防止にも繋がります。

№3 下地補修工事

建物の欠損している箇所やひび割れ部分など建物の不具合部の補修を行います。

まずは、不具合部の調査を行い、施工を行う数量が確定次第、実際に不具合箇所の工事に着手いたします。

工事を行うためには予算があるかと思います。想定よりも数量が多かった場合は、不具合部に優先順位をつけ、工事をするために足場が必要な箇所を優先的に工事を行います。

電動工具を使用しますので、振動・騒音・ホコリが発生いたします。

№4 タイル工事

タイル工事は、下地補修工事と同じタイミングで行います。タイルのひび割れは目視で確認できますが、目視では確認できない不具合があります。それは、「浮き」というものです。タイルと下地の接着剤が剥がれて密着率がどんどん低下していき、浮きを放置してしまうとタイルごと剥がれて落下してしまう恐れがあります。

まずは目視と打診棒でタイル面を叩いて浮きなどの調査を行い、施工を行う数量が確定次第、工事を行います。

こちらも下地補修工事と同様で想定よりも数量が多かった場合は、不具合部に優先順位をつけ、工事をするために足場が必要な箇所を優先的に工事を行います。

タイルは既製品と製作品がありますが、費用にかなりの差がありますので予算に合ったものを選ぶと良いでしょう。

美観を維持するには製作品を選ぶと良いです。

№5 シーリング工事

シーリング工事は、外壁の目地やサッシ廻りなどのゴム状のものです。建物の隙間から雨水の侵入を防ぐと共に、地震が発生した際に建物がひび割れし漏水する事を防いでくれる役割をしています。伸び縮みで建物への影響を最小限にしてくれます。

また、新しいシーリングを打った際にすぐには硬化しません。その為、居住者様がご通行する際はお洋服などに付着しないように十分ご注意していただく必要がございます。

№6 洗浄工事

洗浄工事は、高圧洗浄機を使用して工事を行います。塗装面とタイル面で洗浄の仕方に違いがあり、塗装面は水で洗浄しますが、タイル面は水だけではなく薬品を使用して洗浄していきます。その他にも汚れの種類よって様々な薬品を使用して汚れを落としていきます。長年の汚れや、工事で出たホコリなどをきれいに洗い流していきます。

また、全ての工事が終わったら最後にクリーニング工事を行います。ベランダの窓や手摺の清掃、1階廻りの洗浄を行ったりします。

№7 塗装工事

塗装工事は、旧塗装面に新しい塗料を塗っていく工事です。塗膜も長年雨風にさらされているため劣化していきます。建物を長く美しく保つためには、メーカーで定められた工程で膜厚をしっかりつけて工事を行う事が重要です。

塗料にはランクがあり、価格もかなりの差があります。予算と建物の現状に合った塗料の選定をしましょう。

ベランダの工事を行う際は、完全に窓を養生しますので、1週間ほど窓の開閉が出来なくなってしまい、ベランダの使用もできなくなります。

№8 鉄部塗装工事

竪樋、隔て板、メーターボックス、玄関扉()などの塗装の塗り替え工事を行います。普通の外壁塗装工事とは工程も全く異なり、塗料の種類も全く異なります。

鉄部は、酸化してしまうと発錆で劣化してしまいます。劣化してしまうと見た目も良くない上に、怪我をしてしまう恐れもあります。錆びたまま放置してしまうと塗装工事だけでは回復できず、建具そのものを交換しなくてはならなくなってしまいます。

ボロボロになってからではなく、予防として保証が切れたタイミングなどで調査を行い、不具合がある部分は工事を検討しましょう。

№9 防水工事

防水工事は、建物を守るためにとても重要な役割をしています。主に屋上、屋根、ベランダや排水溝など雨水が当たる場所に施工してあります。

防水層が劣化してしまうと層の下に雨水が入り込んで躯体の劣化に繋がります。その為、新しい防水層に回復する工事を行います。また、防水工事といっても塗装工事のように種類や材料のランクなどがありますので、建物の現状や予算に合わせると良いでしょう。

長尺塩ビシート工事も防水工事と共に工事を行います。

№10 その他工事

その他の工事は、様々なものがありますが、よくある工事はエレベーター外装改修工事や外構工事、集合ポスト交換などのエクステリア工事などがあります。

その他工事は、機能回復はもちろんの事、居住者様が快適な暮らしを出来るよう時代に合わせて建物のグレードアップをしていきます。

マンションの大規模修繕工事にかかる期間はどれくらいなの?

30世帯 3~4ヶ月程度
50世帯 5ヶ月程度
100世帯 6~8ヶ月程度

工事にかかる期間は、工事の内容によってかなりの差があります。

上図は工事が始まってから工事が完了するまでの期間の目安ですので、計画段階からですとさらに日数が必要となります。

また、下地補修工事の数量が想定していたよりも多かったり、工事途中で追加工事があった場合は工事期間の延長を行う場合もあります。

まとめ

大規模修繕工事は12年周期程度で行うため、年齢層も変化していきます。建物保全と共に居住者の皆様が快適な暮らしをするために、建物のグレードアップを検討する良い機会かと思います。

ただし、大規模修繕工事自体かなり大掛かりな工事となり、膨大な費用がかかります。工事の内容がマンションにとって適切かなどは専門家のアドバイスを受けながら工事を進めていくと良いでしょう。

もちろん、レーヴでは工事の内容が適切かなど工事計画を行う時からしっかりサポートをさせていただきます。また、「この見積りは本当に内容が適切か」など疑問に思った際はセカンドオピニオンも行いますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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